藤倉 大  (作曲)
Dai Fujikura, composer

大阪生まれ。15歳で単身渡英しショージ・ベンジャミンらに師事。現在英国在住。

近年の活動は多岐に渡り、2020年には全体主義の脅威を描いたオペラ《アルマゲドンの夢》を新国立劇場で世界初演。数々の音楽誌において、その年のオペラ上演におけるベストに選出された。また同年、広島に投下された原爆の犠牲となった女性の遺品ピアノにインスパイアされて作曲した、ピアノ協奏曲第4 番《Akiko's Piano》が世界初演され、その録音はソニー・ミュージックからリリースされている。

2023年度は、《Wavering World》(シアトル交響楽団/パシフィックフィルハーモニア東京共同委嘱/バーミンガム市交響楽団/マンハイム国立歌劇場管弦楽団)、尺八と箏のための《momiji》(住友生命いずみホール委嘱)、三味線とフルートのための《Reizei》(Hakuju Hall委嘱)、トロンボーン協奏曲《Vast Ocean II》(広島交響楽団委嘱)、ウィーン芸術週間委嘱の音楽劇、B’Rock Orchestra委嘱のフラウト・トラヴェルソ協奏曲、ユンゲ・ドイチェ・フィルハーモニー管弦楽団/ニューワールド交響楽団共同委嘱の木管五重奏曲等の世界初演が行われた。

2024年度は、トランペット協奏曲(ヴィッテン音楽祭委嘱)、《Luminous -ティンパニのための》(ロサンゼルス・フィルハーモニック委嘱)、《Uzu(渦)-チェロのための》(上野通明委嘱)などの世界初演がある。

テレビ番組の作曲依頼も多く、NHK「にっぽんの芸能」、NHK「おんがくのおもちゃばこ」、NHK「カラフルな魔女~角野栄子の物語が生まれる暮らし」等のテーマ音楽を手掛けている。
22年に早すぎる自伝本「どうしてこうなっちゃったか」(幻冬舎)を出版。

●オペラ作品

これまでに3作品を発表。
2020年、新国立劇場委嘱によるオペラ《A Dream of Armageddon/アルマゲドンの夢》がコロナ禍の中、予定通りのキャストで世界初演され、国内外で大きな話題となった。“SFの父”として知られるH.G.ウェルズの短編(邦題:世界最終戦争の夢)をオペラ化したもので、新国立劇場による新制作・委嘱作品。藤倉のオペラ作品では初めての国内での世界初演となった。指揮は新国立劇場のオペラ芸術監督 大野和士、台本は藤倉と旧知の仲である作家のハリー・ロス、演出は現在ヨーロッパを中心に引っ張りだこのリディア・シュタイアーという、グローバルチームによる作品。各方面から高い評価を得た。

2018年、スイスのバーゼル劇場委嘱によるオペラ《The Gold-Bug/黄金虫》が世界初演された。子ども向けのオペラとして委嘱され、エドガー・アラン・ポーの短編を題材にオペラ化。台本はハンナ・デュブゲン。2020年にフランス語版初演。

2015年、シャンゼリゼ劇場、ローザンヌ歌劇場、リール歌劇場の共同委嘱によるオペラ《SOLARIS/ソラリス》がシャンゼリゼ劇場にて世界初演され、国内外で高く評価された。自身初のオペラである本作品は、20世紀を代表する世界的なSF作家スタニスワフ・レムの名作『ソラリスの陽のもとに』を題材にしている。また、2018年にアウグスブルク劇場にて新演出で上演されたほか、同年に東京芸術劇場で演奏会形式・日本初演、2021年に新演出にてウィーンで上演された。

●多彩なジャンルや世界的アーティストとのコラボレーション

実験的なポップスやジャズ、即興の世界のアーティストとのコラボレーションも多数。坂本龍一氏との共同作曲作品を白寿ホールで世界初演。デヴィッド・シルヴィアンとの共同作曲作品はアルバム「died in the wool」に収録されている。また、現代ノルウェーで最も重要な音楽家のひとりヤン・バング、シゼル・アンドレセンとの共同作品は、ジャズランド・レコードよりリリースされている。また、ヤン・バングと藤倉のアルバム「The Bow Maker」が22年夏にリリースされた。
2019年には東京藝術大学奏楽堂での「七感で楽しむシアター」にて、自身初となるダンス作品《Sounding Seven Senses》(東京藝術大学COI拠点委嘱作品/ダンス:大前光市)を発表した。

●『蜜蜂と遠雷』

2019年秋公開の映画『蜜蜂と遠雷』(原作:恩田陸/監督::石川 慶)の劇中オリジナル楽曲《春と修羅》の作曲を担当。境遇の異なる4人の登場人物がそれぞれ演奏するカデンツァ部分も四種四様に書き下ろし、第43回日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞した。小説描写に限りなく近づけつつ、それでありながら藤倉大サウンドも充分に感じられる楽曲として、大きな注目を集めた。春と修羅4ヴァージョンと過去に手掛けたピアノのための作品を集めたベスト盤『春と修羅 藤倉大ピアノ・ワークス』がソニーより発売中。

●邦楽器、ピリオド楽器等幅広い楽器のための作品

近年は邦楽器やピリオド楽器のための作曲依頼も多く、三味線、箏、尺八等の邦楽器や、チェンバロ、フォルテピアノ、フラウト・トラヴェルソ、ナチュラル・ホルン等のピリオド楽器、琵琶や中国の楽器シェンと韓国の楽器テガムのための作品など多数。

●プロデュース/キュレーター

2017年から毎年東京芸術劇場で開催されている、世界中の“新しい音”が聴ける「ボンクリ・フェス“Born Creative Festival”」のアーティスティック・デイレクターを務めている。また、2016年および2019年の「ラ・フォル・ジュルネTOKYO」内の、藤倉大キュレーター公演は満席御礼の成功を収めた。2015年からは、福島県相馬市で4歳から高校生までの子どもたちを対象とした「エル・システマ作曲教室」を監修。多方面で活躍中の奏者を講師として招き、子どもたちは自由に作曲した作品を、その場で奏者に演奏してもらえることが特徴。

●レコーディング/出版

レコーディングは、ソニー・ミュージック、NMC、commmons、KAIROS、ストラディヴァリウス、藤倉大自身が主宰する音楽レーベルMinabel Recordsから、楽譜はリコルディ・ベルリンから出版されている。

●執筆

2019年より、幻冬舎plusにて連載「藤倉大の無限大∞」や、小説幻冬にて連載「どうしてこうなっちゃったか早すぎる自伝」などを執筆。2022年、早すぎる自伝本「どうしてこうなっちゃったか」(幻冬舎)を出版。

●作曲の方法

世界中の演奏家からの新作依頼を実現するにあたり、Skypeなどで演奏家とコミュニケーションを図りながら、作曲を進める。

●数々の作曲賞を受賞

これまでにポーランドのセロツキ国際作曲コンクール(当時最年少で優勝)、ロイヤル・フィルハーモニック作曲賞、国際ウィーン作曲賞、パウル・ヒンデミット賞、第57回、第63回、第67回、第70回尾高賞、第19回芥川作曲賞、中島健蔵音楽賞、エクソンモービル賞、ヴェネツィア・ビエンナーレ音楽部門銀獅子賞、WIRED Audi INNOVATION AWARD2017、平成30年度文化庁芸術選奨文部科学大臣新人賞、第 33 回ミュージック・ペンクラブ音楽賞など、数々の作曲賞を受賞している。

公式ホームページ:http://www.daifujikura.com
Minabel Records :http://minabel.com/
スコアのオンラインストア:http://www.daifujikura.com/un/shop.html