この作品は、僕のテューバ協奏曲のテューバのパートから出来上がったソロの作品。協奏曲を書いた時は「テューバという楽器の魅力は?」「テューバを吹く時、どういう時 に快感を覚えるのか?」などの点が、僕の興味を惹いていた。テューバとは本来ものすごくセクシーな楽器だ。このセクシーさが、古典のテューバの使い方では活かされていないものになってしまっている! と僕は感じ、この楽器を活かした音楽世界を書けるのは、もう僕しかない!と勝手に思い込み(笑)、協奏曲、そのあとソロ作品となるこの曲を書き進めた。
「ホルンやトランペットはオーケストラの中でもメロディを吹く部分が出てきたりして、長いソロ的なメロディ を吹ける奏者がいるが、テューバはどうしても単に必要な低音を鳴らすだけのことが多くなる。ソロ的に演奏できるテューバ奏者が少ない!」と、あるテューバ奏者が言っていたので、協奏曲、Contourではテューバは長く、音域の広い音楽を、官能的に吹き続く作品を書こうと思った。僕もこの作品を書く上でのリサーチで「テューバってこういう楽器だったのか!」とよく判って嬉しかった。
藤倉大