落合さんと日本フィルからのテーマはいつも興味深く挑戦しがいがあります。僕は勉強が大好きで、知らないこと を知ることへの欲求が強いタイプです。それは落合さんも同じであり、もしかしたら多くの人に共通することかもしれ ません。日本フィルは、毎回勉強会をアレンジしてくれます。これが一番楽しいひと時です。 今回のテーマは「鬼太鼓」。僕はその言葉すら聞いたことがありませんでした。しかし、ちょうどその時、ブルガ リア人の妻とイギリス生まれの娘が「鬼って何?」と尋ねてきたのです。娘が「節分」を習ったことがきっかけでした。 さらに別のプロジェクトで、僕は太鼓のアンサンブルの作品を手掛けていました。タイミングがばっちりで、勉強会 で鬼について学ぶこともできました。 今回の作品も、通常のオーケストラ作品のようにすべての音を細かく書き込んだ楽譜ではなく、演奏の自由が効 くオープンスコアの形式です。これにより、構成の再構築や様々な楽器編成での演奏が可能になります。
藤倉大