Drunken Master (酔拳)

ヘンテコな楽器というのは世界中にいろいろあると思うけど、これはびっくりするくらい変な楽器だと思う。変なものには人間誰だって惹かれると思うし、僕も最初、この楽器をビデオ通話で見せてもらったときに大笑いしてしまった。「なんじゃこりゃ!?」と。そして、その面白さに魅了され、この作品の締め切りが数年先だったにもかかわらず、ビデオ通話を終えてすぐに作曲を始めた。

どの音域がより変なんだろうか、というところに僕の興味は集中する。作曲する人なら、そう思うのは自然なことだと思う。変なものというのは、かっこいいものよりもかっこいい。

そんなわけで、どんどん作曲を進め、断片を送っては演奏してもらい、自撮り動画を送り返してもらった。特に高音の「みゃおーん!」という音がたまらなく好きだった。

こうして楽しい作曲の時間を過ごしているうちに、気がついたら作品が完成していた。

藤倉大