Ghost of Christmas


This piece was commissioned by the Orchestre national d'Île-de-France. They asked me if I could write music for Christmas. Could I? I wondered...

I immediately imagined a swaying melody and imagery of opening presents by the fireplace on a cold Christmas morning.

I moved to England from Japan when I was 15. I had an English family who took care of me then, as my legal guardians. In that family, everyone opened presents by fireplace on Christmas Day.

It was a very traditional family, the rule was that everyone listened to Queen Elizabeth II’s speech on television first, then they opened the presents. Nobody opened anything before her speech.

Taking the presents from under the Christmas tree and opening each one: I think the joy of this moment of opening a present is common all over the world.

The melody floats with a nostalgic feeling. The second half of the piece, with the strings continuously descending with a staccato of harmonic glissandi is, for me, the “sound” of snow falling. At the end, the jingle bells play.

Christmas is a family holiday and fun. However, after opening presents and eating with my family, I wonder if it is only me who feels a little sad for some reason.

Dai Fujikura (edited by Alison Phillips)


「クリスマスのオーケストラ作品を書いてほしい、、、」
最初イル・ド・フランス国立管弦楽団から、コンポーザーインレジデンスになって欲しい、というお話をいただいた時に伺った。

ク、クリスマスの作品?そういうのってだいたいイージーリスニングな音楽を書く作曲家が頼まれるものじゃないかな、とも思った。それに、この委嘱契約書を見た僕の出版社も「クリスマス作品なんて書けるの、ダイ?」と心配そうに言っていた。

そこまで心配されたら逆に書いてやろう、とも思った。
何かクリスマスの題材みたいなのがないかな、といろんな人に聞き回った。
びっくりすることに、あまり反応がない。

そこで、自分でも調べている時に考えついたのが、ディキンズの小説、クリスマス・キャロル だ。ここからインスピレーションを得て書こうと思った。

ゆらゆらと揺れるメロディと、寒いクリスマスの朝に暖炉の近くでプレゼントを開ける。。。

僕は15歳の時にイギリスへ一人で移り住んでいる。
イギリスに来た時には、僕の親代わりをするイギリス人の家族がいた。
そこの家族ではクリスマスは必ず暖炉の近くでみんなでプレゼントを開ける。(もっとも伝統的なこの家族では、エリザベス女王のテレビのスピーチをみんなで聞いてから開ける、というルールだった)。

そのプレゼントをクリスマスツリーの下から取り、それぞれ開ける。
プレゼントを開けるこの瞬間の喜びは、世界中共通なんじゃないか、と思う。

そうした、なんだか懐かしい感じのフレーズ、メロディがゆらゆらと漂う。
そこに後半からは雪がしんしんと降る。
弦のオーケストラがハーモニックス グリッサンドのスタッカートでしんしんと降り続く。

最後はジングルベルの楽器が、しゃんしゃん、と鳴って終える。

クリスマスは家族と過ごすもので、楽しい。
だけど、プレゼントを開けて、家族と食事をした後、
なぜか少しだけ物悲しくなるのは僕だけだろうか。

藤倉大