『Half Moon』は、僕の作品『Moon』の琵琶パートから派生した琵琶とヴィオラ・ダ・ガンバの曲です。この『Moon』の琵琶パートの作曲は、思った以上に難しかったです。琵琶奏者の久保田さんからは、「三味線をやっていれば、琵琶は理解しやすいです」と言われましたが、それでも琵琶特有の左手の技法や音楽的に開放弦をどう活かすか、そして琵琶が最も効果的に響く鳴り方を見つけるのに苦労しました。たくさん試行錯誤を重ねた結果、捨てられた素材の量が実際に残ったものの何倍にもなりました。
久保田さんによれば、琵琶奏者は通常、琵琶を演奏しながら物語を語ることで知られており、他の楽器と一緒に演奏することはほとんどなく、常にソロ演奏が主体だったそうです。そのため、デュオ曲からソロ作品として『Half Moon』を生み出すのは自然な流れでした。
この短い琵琶のソロ曲『Half Moon』では、琵琶奏者が心の中で聞こえる物語を語っている姿をイメージしています。
藤倉大