Jack 
for harpsichord


僕の初めてのソロのチェンバロ作品は、「Jack」というタイトルの作品です。

チェンバロ奏者の方なら、それがなぜそのようなタイトルなのか、理解してくださるでしょうね。
チェンバロに詳しくない方(以前の僕のように)、コンサートの後にでも演奏者の方に尋ねてみてください。

この作品は僕にとって初めてのソロのチェンバロ作品でした。ただ、その前に、バロックアンサンブルのための作品「グリーンティーコンチェルト」という作品を書いたことがあります。その中にはチェンバロのパートも含まれていたので、その際にチェンバロ奏者の方から多くのことを学びました。

そのため、Jackを作曲する際には、チェンバロについての入門的な内容は理解済みな気分でした。「Jack」はせっかくのソロ作品だから、もっとその理解を深めたいと思いました。作品を委嘱してくださった染田真実子さんに、詳しく教えていただきました。なぜチェンバロを演奏したいと思ったのか。チェンバロ奏者として演奏する際に一番大切にしていることは何か。チェンバロの演奏中どのような時に快感を感じるのか、などです。

もちろん楽器の可能性などのワークショップもしますが、それよりも僕が興味があるのは、演奏家の人柄です。楽譜を書き始めてからも毎日のように楽譜を送っては弾いていただき、そこで染田さんから弾いた時の感触、何が上手く鳴るか、鳴らないか、を教えていただき、書き足し、書き直し、などをして完成させました。

最近、僕には古楽器奏者の方からの作曲依頼が結構舞い込んでいます。古楽器については全く知識がなかった僕としては、勉強する絶好の機会であり、毎回さまざまな発見がある作曲生活を楽しんでいます。

藤倉大