この作品はマリンバのデュオの曲。僕は今までいくつかのマリンバの作品を書いた事がある。
マリンバって特別だと思う。
打楽器の楽器の一つではある。なので、打楽器奏者と言われる人たちは打楽器全般を普通演奏する人と思いがちなのだけど、中には、マリンバしか弾きません、というスペシャリストもいる。打楽器全般弾くタイプの打楽器奏者の友人は、そういうマリンビストは、マリンバの楽器以外の打楽器を弾く為のスティックを握った事も無いかもよ、と言う。
でもヴァイオリンを弾くからと言ってコントラバスも弾きますよね?とは普通はならないので、マリンバが特別なのも分かる気がする。
僕には、そんなマリンビストの友人達もいるので、僕の中でもマリンバは他の打楽器と区別するようになっている。
そんな中、マリンバ2台の曲、というのは今回初めて。しかも、僕の作品を前から弾いてくださっている、中村功さんと塚越慎子さんからの依頼だ。
どんな曲にしようかなと、ぼぉっと考えていても始まらないので、まず「マリンバ」とググってみた笑
数秒後、マリンバのバチ(スティック)について書かれたサイトに行き着く。もちろんマリンバの曲も僕は過去に書いているし、打楽器全般、バチで音色が変わるのはよく分かっている。
マリンバは鍵盤楽器でもありえるけど、バチに注目してみるのも良いかな、とその時ぼんやり思っていたら、なんとその眺めている素敵なサイトは、塚越さんのサイトではないか!
勝手に、これは運命!と思い、即座にこのアイデアで書いてみようと思った。
特に重要なのは、一台のマリンバではなく、わざわざ2台のマリンバで弾く、と言う所だ。
一台のマリンバで良ければ、二台のマリンバは必要ない。言い換えれば、二台無いといけない、確実な理由が必要になってくる。
そうなると、マリンバ奏者一人に、(とても硬いバチ=とても硬い音がする) に特化してもらい、もう一人は、柔らかいバチに特化してもらう。
さて、それをどう組み合わせようか。硬いバチの硬い音の後、ホールで響く残響と柔らかいバチの音が溶け込む、とかだと面白そうかも、と思い書き始めた。
後もう一つ考えられるのが、奏者二人ということは、大抵の場合、合計の腕の数は4本。という事はバチは合計何本持てるだろうか?
とても音の数が多いものも、「一人では演奏は無理で二人でならでこそ演奏可能」の領域だと思った。
ざっくり言うと、二種類の「こだま」である。硬い+柔らかい、と、硬い+硬い。
こだま、もググって見ると、木霊という漢字なのも出てきて、それこそ木の楽器であるマリンバにピッタリだ、と思った。
藤倉大