この作品は、尺八と箏のデュオです。尺八と箏の組み合わせは、伝統的にもよくある組み合わせだと聞きます。
しかし、僕にとっては大変なチャレンジなのです。なぜかというと、尺八は言ってみれば横の線の音楽であり、箏ははじく楽器なので縦の音楽を奏でます。
僕にとっては、この二つの対局の音を組み合わせるのはとても難しいのです。それもあって、西洋音楽の古典でもあるような、弦楽器とピアノ、とか、管楽器とピアノ、みたいな曲は僕には少ない。
どうしたら、箏が尺八のような音を、尺八が箏のような音を奏でられるのか。この音の世界を見つけるのが僕の最大の課題でした。
それを今回見つけたと思うんです。
また、対局にある2つの音の宇宙を分けて考え、そこで音楽が進むという部分もあります。
短めの曲ですけど、僕にとってはエピックなデュオ曲です。
作曲中、ずっと毎日のように世界初演をする片岡リサさん、藤原道山さんに楽譜をシェアして、励ましてもらいながら作曲を続けることができました。
藤倉大