The Shamisen Concerto was privately co-commissioned by shamisen player Hidejiro Honjoh and our friend Ayako Hasegawa. This concerto is based on my earlier piece “Neo” for solo shamisen which was also written for Hidejiro.
I didn't grow up listening to, or really knowing much about Japanese traditional instruments. Therefore when writing for the shamisen which is a very traditional Japanese instrument, I had to start by researching the instrument.
In order to write “Neo” I did many long video chat sessions with Hidejiro. Also to help me write this concerto, Hidejiro sent a real instrument to my home in London along with the book “Shamisen for Beginners” which was written by his master, Hidetaro Honjoh.
I always thought of the shamisen like an electric guitar in a rock band. Traditionally you add distortion to the sound, which is the opposite of traditional western instrumental approach. This naturally fascinated me.
When creating a concerto from a piece that already exists as a solo work, I always think about how I can expand and enhance the material of the solo part, how I can make the soloist shine by creating a world in which the solo instrument lives and is the center of attention (being a composer is very much like being a wedding planner, perhaps).
All the attacks and riffs of the distorted sound of the shamisen would be echoed and expanded in the sharp attacks in the orchestra, and the accompanying material in the orchestra goes on to inspire new material in the solo part which isn’t in “Neo”. Those chemical reactions which I observe everyday on the score are happening perpetually, until the composition tells me “now we finish.” That’s the time we wrap up the piece.
Dai Fujikura (edited by Alison Phillips)
三味線協奏曲
三味線協奏曲は、三味線奏者の本條秀慈郎さんと友人の長谷川綾子さんによって個人的に共同委嘱されました。
この協奏曲は、秀慈郎さんのために書かれたソロ三味線のための私の以前の作品「Neo(音緒)」に基づいています。
僕は日本で育った時に、日本の伝統的な楽器を聞いたり、触れることは全然ありませんでした。
なので、三味線の楽器のこともあまり知りませんでした。
日本の伝統楽器である三味線のために音楽を書くとき、楽器を研究することから始めなければなりませんでした。
「Neo(音緒)」を書くために、僕は秀慈郎さんと長いビデオチャットを何度もしました。
また、この協奏曲を書くのを手伝うためにと、ある日秀慈郎さんは、本物の三味線を僕のロンドンの自宅に送ってくださいました。
三味線の研究している時に、三味線はロックバンドのエレクトリックギターのようなものだな、という印象が僕にはありました。
面白いことに、三味線の伝統的な奏法は、サウンドをディストーションさせる(さわり)を、追加します。
これは、従来の西洋楽器のアプローチの反対です。
この考えには僕はすごく興味を持ちました。
すでにソロ作品として存在している作品から協奏曲を作成するとき、僕は常にソロパートの素材をどのように展開、パワーアップできるか、を考えます。
それに加え、ソロ楽器が自由に動き回れる世界をオーケストラが作ってあげる。
そのことによってソリストをどう輝かせることができるか、というのが一番重要ポイントだと僕は思います。(作曲家は、時には結婚式のプランナーに似ているかもしれません。どうやって花嫁をその会場で一番美しく輝かさせられるか、という)。
三味線のディストーションのかかった音のすべてのアタックとリフは、オーケストラの鋭いアタックでエコーされて拡張されます。
反対に、オーケストラが演奏した部分はまた三味線を刺激し、「Neo(音緒)」にはない新しいソロ部分の素材を触発し、生まれさせます。
作曲中、毎日観察しているこの化学反応は、楽曲そのものが「はい、この曲はこれで完成よ!」と僕に言うまで、絶え間なく起こっています。
藤倉大